糖尿病について② 〜診断・合併症〜
- 2025年3月24日
- 内科
皆さん、こんにちは!
今回は糖尿病の診断基準と、糖尿病による合併症についてお話しします。
糖尿病の診断は?
糖尿病の診断基準は下記の通りになっています。
血糖値は食事だけでなく、ジュースを飲むだけでも簡単に上昇します。
ですので、適切なタイミングで採血をして血糖値を測定する必要があります。
糖尿病の診断の基準は以下のとおりです。
✔︎ (早朝)空腹時血糖値 126mg/dL以上
✔︎ 75g 経口ブドウ糖負荷試験 2時間値 200mg/dL以上
✔︎ 随時血糖値 200mg/dL
✔︎ HbA1c ≧6.5
初回の検査と別日に以下の1つでも満たすと「糖尿病型」、複数を同時に満たす場合は「糖尿病」と判断します。
75g経口ブドウ糖負荷試験とは、ブドウ糖を一定量含んだ甘い飲み物(サイダーみたいなもの)を飲み、飲む前と飲んだ後何度か血糖を測定し、その推移を確認します。診断には2時間後の数値を用います。
随時血糖とは、食事をしてからの時間経過を考慮しない時点での血糖値のことです。
HbA1cとはグリコヘモグロビンとも言われ、1〜2ヶ月程度の血糖値の推移を示す指標となります。
また、
✔︎ 喉が渇く、多飲、多尿、体重減少などの糖尿病の典型的な症状がある
✔︎ 眼科で、糖尿病網膜症と確実に診断されている
場合は、血糖値のみで(HbA1cの数値と関係なく)糖尿病と診断されます。
血糖値以外に必要な検査は?
血糖値やHbA1c以外に、初診の時には「抗GAD抗体」という数値を測ることも多いです。
これは、1型糖尿病という「自己の免疫の異常によって膵臓のインスリン分泌を行う細胞が破壊される病態」の判断に必要になります。
そのほか、「Cペプチド」「尿ケトン」などを測定することがあります。
Cペプチドはインスリンがどのくらいちゃんと分泌できているかを評価するのに役に立ちます。
ケトンとは、脂肪を分解してエネルギーとして使用する際に産生される物質です。本来は、インスリンの作用でブドウ糖を最初のエネルギーとして使用しますが、糖の摂取が低下している場合(ケトジェニックダイエットって一時期よく耳にしたと思います)や、逆にブドウ糖が多すぎてインスリンが十分に機能できない場合に血液中で多くなり、尿にも排出されてきます。それを測定することで、インスリンが十分に機能しているのかを評価することができるのです。
糖尿病の合併症とは?
合併症の根本は動脈硬化による病態です。
神経や目、腎臓などの細い血管が損傷されて生じるものもあれば、心臓や脳などの割と太い血管が損傷されて生じるものもあります。
医学教育の中では「しめじ」という語呂をよく覚えます。
典型的には、神経→眼→腎臓という順番で傷害されやすいよ、ってことです。
以下、糖尿病の進行と共に生じることの多い合併症を挙げていきます。
✔︎ 糖尿病神経障害 おもに足の痺れや異常感覚が生じます。そのため傷にも気付きにくく、治りにくい状態も来します。
✔︎ 糖尿病網膜症 目がかすんだり、黒い点が見えたりして、進行すると失明もありえます。
✔︎ 糖尿病性腎症 慢性腎不全となり、放置すると透析が必要になることもあります。
✔︎ 虚血性心疾患 狭心症や心筋梗塞になりやすくなります。
✔︎ 脳梗塞 脳の血管が詰まり、麻痺や痺れ、しゃべりにくいなどの症状がでます。
✔︎ 糖尿病性足病変 足の指の潰瘍や壊疽が生じ、ひどいと足首の上で切断手術が必要となることもあります。
✔︎ 糖尿病性昏睡 高血糖や低血糖で意識障害をきたし、死に至る可能性もあります。
これらの他にも、糖尿病があると免疫力が低下したり、足に限らず傷の治りが悪くなったりと、体にとって本当に悪影響なことが多く出てしまいます。
糖尿病にならない!糖尿病になっても進行させない!
本当にそれが大事なんです。
次回は、その方法(治療と対策)についてお話ししますね!