アレルギー性鼻炎③ 〜治療〜
- 2025年4月20日
- 内科
皆さんこんにちは!
アレルギー性鼻炎について、最後は治療に関してお伝えします。
アレルギー性鼻炎の治療は?
花粉症を含むアレルギー性鼻炎の治療には
✔︎ 抗原を回避する
✔︎ 薬物療法
✔︎ 免疫療法
✔︎ 手術療法
があります。
順番に説明していきます。
まず抗原回避ですが、
アレルギー性鼻炎は抗原がなければ症状は出ません。
ですので、ダニやハウスダスト、花粉などそれぞれに対しての対策が必要です。
ダニ・ハウスダスト対策で言えば、
室温は20〜25度、湿度は45%以下に保ち、こまめに布団を干し、掃除機をかける(その際はマスクをつけましょう)
花粉対策では
花粉飛散情報に注意し、屋外ではマスク・メガネ(ゴーグル)を着用する
自宅に入る時や洗濯物を取り込むときは、しっかりと花粉を払う(これ結構大事!)
ということが重要となります。
薬物治療には
まずは抗ヒスタミン剤という薬剤を使います。
抗ヒスタミン剤は中枢神経抑制作用があり、眠気がでてしまうことはよく知られていますね。
抗ヒスタミン剤には、第一世代と第二世代というものがあります。
第二世代は第一世代と比較して眠気が少ない傾向があります。世代間で効果はあまり変わらず、第一世代の薬を使う機会はあまりありません。
第二世代抗ヒスタミン剤には多くの薬剤があります。
皆さんがよく耳にするものだけでも、クラリチン、アレグラ、アレロック、タリオンなどがあるでしょう。
効きや眠気にはかなり個人差が強く、同じ薬でも、この人はよく効くけどあの人にはあんまり効かない、この人は眠くならないというけどあの人は眠気が強いという、ということが多くあります。
ですので、自分にあった薬を選んでいくことが重要です。主治医の先生ともよく相談していきましょう。
その他には、ロイコトリエン受容体拮抗薬(抗ロイコトリエン薬)やステロイド点鼻薬も使います。
無理やり分けると、抗ヒスタミン剤はくしゃみや鼻水に、抗ロイコトリエン薬は鼻詰まりに効くというイメージでしょうか。
抗ロイコトリエン薬はキプレス・シングレア・オノンなどの名前でご存知の方も多いと思います。
ステロイドの点鼻薬はアラミスト、ナゾネックスなどがありますが、有害事象があまりなく(鼻血やかさぶた形成、刺激などはあります)、くしゃみや鼻水、鼻詰まりのどの症状にも効果が期待できます。
海外ではステロイド点鼻薬の推奨度が強いです。抗ヒスタミン剤や抗ロイコトリエン薬と合わせて使っていくと良いでしょう。
次は免疫療法です。
アレルゲン免疫療法とも言われ、抗原を少量ずつ投与し体を慣らしていく方法で、上記の薬物療法よりも根治率が高く、長期の症状改善が期待できます。
皮下免疫療法と舌下免疫療法という2種類の治療があります。
皮下免疫療法は
月に1、2回(最初は週に1、2回)のぺーすで、抗原を薄めた溶液を注射で行う治療
舌下免疫療法は
月に1回(最初は週に1回)抗原エキスの入った薬を舌下に投与していく治療
です。
小児も治療は可能です。
しかし、現時点では皮下・舌下いずれもダニ・ハウスダストとスギ花粉にしか適応がありません。それぞれミティキュア、シダキュアという薬剤を長期に内服します。
毎日欠かさず内服をしなければならないデメリットはありますが、上記の通り根治率や長期の症状改善のメリットはかなり大きいと思います。
そのほかはオマリズマブという2019年に保険適応が承認された新しい薬物治療もあります。
最後は手術療法です。
手術療法にもいくつか方法があり、
下鼻甲介レーザー治療や粘膜下下鼻甲介切除術など、アレルギー性鼻炎の際に腫脹を生じやすい下鼻甲介に対する治療や
後鼻神経切除術という抗原に反応する神経を切除する治療もあります。
各治療で効果が得られず症状が改善しない場合に手術が選択されます。
3回にわたり、アレルギー性鼻炎(花粉症)について説明してきました。
当院でも、特異的IgE検査でのアレルギー性鼻炎の検査、薬物療法、舌下免疫療法が可能です。
そして、最後に来年の花粉症に向けて!
花粉症の原因で最も多いのが、なんといってもスギですが、スギ花粉が飛散するのは3月ごろからですが、その前の2月初旬から中旬から治療を開始することで症状をコントロールしやすくなることも報告されています。
ぜひ、来年は2月ごろから治療を始めてみましょう!
次回からは、内科からガラッとかわりますが、足関節捻挫に関してお伝えしていきます。
足関節捻挫って実は大変な怪我なんですよ。
お楽しみに〜