足関節捻挫③ 〜治療 1〜
- 2025年5月18日
- 外傷
皆さんこんにちは!
さて、今回は足関節捻挫の治療方法についてお伝えします。
ですが、まずは足関節にとどまらず、一般的な整形外科的な外傷の際の初期対応についてもお伝えしておきます。
スポーツの際、普段の生活の際に怪我をしてしまった時の大事な対応方法ですので、皆さんぜひ覚えておいてください!
捻挫の際の初期対応は?
突然ですが、皆さんはRICEというのをご存知でしょうか?
「米」
日本人ですからね、まずは米を思い浮かべると思います。
でもここでは米のお話ではないんです。
RICEというのは外傷初期診療における重要な対応の語呂合わせなんです。
R:Rest 安静
I :Ice 冷却
C:Compression 圧迫
E:Elevation 挙上
最近では
P:Protect 保護
をつけてPRICEとする場合もあります。
ではそれぞれ詳しく説明します。
Rest、Compressionは一緒に行うことが多いです。
内出血の悪化や腫れの悪化を防ぐため、関節を動かさないように弾性包帯や副え木などを使って少し強めに固定し、安静にします。
肘であれば三角巾で固定したり、指であれば鉛筆やペン、木製の板(アイスの木の棒なども使いやすいです)、屋外レジャーなどの際は太めの木の枝などを使ったりします。
スポーツの試合中であれば(欲を言えばベンチに下がって欲しいですが)、テーピングなどで関節をガッチリと固めてしまうことも、この対応に該当します。
とにかく動かさずに、患部を圧迫して固定します。
強く巻きすぎると、血流不全や感覚障害をきたしてしまいますので、少しきついなと感じる程度で、末梢の部分の皮膚の色が変わらないように巻きましょう。
Icingは、
ビニール袋に入れた氷水や氷嚢、保冷剤などを腫れて痛みのある部位に当てます。冷湿布でもOK。
直接当てると凍傷を起こしたり痛みが出てしまうこともありますので、ガーゼやハンカチなどを挟んでもOKです。
時間としては、10〜15分程度当てておきましょう。そうすると少しヒリヒリとした感じが出てくると思いますので、そこから30〜40分ほど中止します。
これを3、4回行っていきます。
お風呂上がりなどは体が温まって血流が良くなっており痛みや腫れが強くなりやすいので、入浴後は入念に行ってください。
Elevationはなるべく心臓よりも高くしておくことを指します。
指であれば腕を持ち上げておくことで、足であれば横になって枕や丸めた布団などを使って足を上げておきます。
これは足関節捻挫にとどまらず、腕や手などでも当てはまります。
なかなか、同時に全部を適切に行うことは難しいですが、ひとまずすぐにできる対応としてできるものからやってみましょう。
どれも怪我をしてからすぐに対応することで効果を発揮します。
あくまで初期対応ですが、治療としても重要な要素をたくさん含んでいます。
ぜひ、怪我の際は実践しましょう!
足関節捻挫の治療は?
※まずお伝しておきたいのは、非アスリートを目的とした治療方法です。
以前は、足関節捻挫の治療は、1、2ヶ月くらいギプス固定して、そのあとはリハビリしていく方法が一般的でした。
ですが、足関節捻挫における治療はまだ様々な検証が現在進行形で進められています。
上記のRICEの対応が基本にはなるのですが、どのような固定が良いのか、どのくらいの期間行えば良いのか、どのような運動をすれば良いのか、など様々な見解があり定まったものは実はありません。
あくまで現時点で勧められる治療についてお伝えします。
最初は、痛みの軽減することを最優先にします。そのためにもRICEの対応は重要です。
もちろん、痛み止めは我慢せずに使用して構いません。
患部の痛みや腫れが強い場合や、痛みを避けるような歩き方になってしまう場合は、10日程度の固定を行います。
その固定方法は、短下肢ギプスやシーネといった方法で、足の半分から脛の半分くら今で足首をまたいで関節が動かないようにします。
そして、痛みや腫れが引いたら、アンクルブレースや編み上げ式装具という、ギプスなどと比べて固定力を落とした装具に変更します。
当初から痛みがあまり強くない場合は、最初からアンクルブレースを使うこともあります。
そして早い段階から痛みのない範囲で足関節の運動を始めていきます。
固定期間は捻挫(靭帯損傷)の重症度に応じて変わります。
軽症で1〜2週間、重症では半年程度必要になります。
なお、靭帯が治癒し、元の関節の安定性が復活するのには6週間から3ヶ月が必要なんです。
今回は怪我の際の初期対応と足関節捻挫の初期治療についてお伝えしました。
次回は、足関節捻挫の運動療法についてお伝えします。