頭痛⑤ 〜片頭痛の治療〜
- 2025年8月9日
- 内科
皆さんこんにちは!
片頭痛の回の最後は、治療についてお伝えします!
片頭痛の治療は?
片頭痛の治療は急性期治療と予防治療に分かれます。
急性期治療とは、その名の通りその時の痛みを抑える治療です。
予防療法は、頭痛の頻度を減らすために予防として行う治療です。
急性期治療は?
多くの患者さんが、市販のイブやナロンエース、ロキソニン、タイレノールなどの総合鎮痛剤を使用しているのだと思います。
確かに治療として、アセトアミノフェン(カロナールやタイレノールなど)や非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)と言われるロキソプロフェン(ロキソニン)やイブプロフェンなどのいわゆる鎮痛剤も使用します。
しかし片頭痛に特化しているわけではありません。
片頭痛に特化した治療は?
片頭痛に特化した薬としてトリプタンという薬剤があり、こちらをまずは使用していきます。
トリプタンは片頭痛治療薬として作られた血管収縮を促す薬剤です。
種類も豊富で、効き目の早いリザトリプタンや持続時間の長いナラトリプタンなど現在日本で使用可能なもので5種類存在します。
トリプタンは内服するタイミングが特徴的で、痛くなり始めたら30分〜1時間以内に内服することで効果を示します。
頭痛診療において薬の効果は、服薬して2時間後にいかに頭痛を抑えられているかどうかで判断します。
ですから、痛みが強くなりすぎていてもう動けない、、、という時に内服してもあまり効果はなく、そんな時はアセトアミノフェンやNSAIDsの方が効果があります。
また副作用として、血管収縮による症状があり、人によっては胸の締め付けられるような感覚などが出る場合があります。頻度は多くはありません。
そんな「トリプタンって飲むタイミングが難しいんだよな」「結構痛い時に飲んでも効果が弱いのよね」「胸が苦しくなっちゃう」といった問題を解決できる薬が2021年に発売されました。
ラスミジタン(レイボー®️)という薬剤です。
ジタンという種類の薬は、トリプタン同様に血管収縮を促す薬ですが、作用する受容体が異なるためあまり胸の絞扼感などの副作用が出にくく、内服するタイミングもあまり関係なく使用することができます。
痛みが出始めたタイミングでも、痛みが強くて辛いタイミングでも効果を示すと言われています。
副作用として3割くらいの人がめまい感やふわふわした浮動感を訴えられます。
この副作用も内服を継続していく中で徐々に軽減してくると言われています。
ぜひ、トリプタンの使い方が難しい場合などは、ご相談ください。
片頭痛に使われる漢方もあるの?
頭痛には漢方薬も使用されることが多いんです。
風邪の時に使う、皆さんもよく耳にすることのある葛根湯(かっこんとう)実は頭痛にも効果が示されています。
二日酔いやむくみなどの症状によく使われる五苓散(ごれいさん)、気圧などの関連した頭痛(気象病とも言います)に効果が高いと言われています。
そのほか呉茱萸湯(ごしゅゆとう)という薬もあり、苦味はありますが片頭痛の予防効果もあり重宝されています。
以上、片頭痛の急性期治療について説明してきました。
まずはその時の痛みをどうにかしたいという場合の対応方法ですが、
痛み止めやトリプタンを使いすぎることで生じる弊害もあるんです。
ですので、急性基地治療と同等、いやそれ以上に予防療法も大事なんです。
次回は片頭痛の予防療法の重要性と、薬剤使用過多による頭痛についてお伝えします。